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幽霊だとか、超常現象だとか、
自分には全く関係のない世界の話だと思っていました。
今のアパートに越してくるまでは……
いや、正直、今でもよく分かっていません。
アレがなんなのか。
心霊現象と呼んでいいものなのかどうか。
ええと、どこから説明すればいいのかな。
物が動いたり、変な音が聞こえたりとか、
そういう典型的なものだったら、こっちも説明が楽なんですけど。
なんていうか……
直接、僕に干渉してくるというか。
勇気を出して、友人に相談した事もあるんです。
本当は霊なんていなくて、僕はノイローゼにでもなってしまったんじゃないかと不安で。
一晩僕の部屋に泊まってもらいました。
その晩もいつも通り、アレはやってきました。
いつも通り、その、あの……
ぼ、僕に、触ってきました……。
姿は見えません。
友人は何もされてないみたいで、隣でテレビを見ながら笑っていました。
僕もその隣で、一緒にテレビを見ていたんですけど……
アレは……
いつも同じ場所だけを触るんです。
執拗に、何度も、何度も、緩急をつけたり、焦らしたりしながら。
そこは、そこは……
僕の、ち、ちく……乳首……です。
こんな事恥ずかしくて、誰にも相談できません。
友人に言えば、当然どこをどういう風に触られているのか、聞かれるじゃないですか。
だから耐えました。
最初は先っぽを優しく、指の腹でさすっていって。
じっとりとした、生暖かい息も感じました。
まるで口に含まれたまま、舌では触れずに焦らされているような。
隣では友人がテレビを見て笑っているし。
必死に気のせいだって、思い込もうとしました。
そうしたら突然、口に含まれていた左の乳首を、強く吸われたんです。
吸われたまま舌先で器用に転がしてきて。
無視するなって言うように。
たまに友人が何か言っていましたが、
もうテレビの内容も、友人の話も、頭に入って来ません。
僕は膝を抱えて、なんとかごまかそう、やりすごそうとしていました。
信じられませんよね。
膝を抱えて、こう、体育座りみたいな体勢でテレビを見ていたんですよ。
それなのに、乳首を吸われたり舐め回されている感覚が、はっきりとあるんです。
とにかく、こんな恥ずかしい事やっぱり友人には相談できないと思い直して、
何とか帰ってもらえないか、話を切り出そうとしました。
そうしたら今度は、左乳首への責めはそのままに、
右側を指でつつかれたんです。
驚いて、思わず声をあげそうになってしまいまして。
慌てて口を塞ぐと、指は右乳首を軽く引っ張って、ひねって、
やっと放してくれたかと思えば、今度は指の腹で優しく、でもしつこく、
何度も弾いたり、押し潰したままぐりぐり円を描いてみたり。
また不意につままれて、ひねられて。
その時は、部屋着であるラフなTシャツを着ていたので、
友人がこちらを振り向けば、僕の乳首がびんびんに勃起しているのは一目でばれてしまいます。
得体の知れない何かに乳首をいじくりまわされて、
感じてしまっている顔なんて見られたら、
僕は明日から生きていけません。
一晩中責め立ててきました。
一晩中。ずっと。
乳首だけをです。
もう……
もうこんなの、耐えられません!
毎日毎日、朝も夜も突然アレはやってきて、
いつも触るのは乳首ばっかり。
最近じゃすっかり開発されてしまったのか、乳首が敏感になりすぎてしまって。
シャツが擦れるだけでも感じてしまうんです。
ほら、今も。
ほら。
ねえ、助けて下さい。
苦しいんです。
辛いんです。
もう乳首だけじゃ、我慢できないんです。
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